知っておくべきワイン用語・蔵出し


 まず、このコラムの読者の皆様に、先に謝っておく事があります。2回前の配信に書かれた蒸留酒「マール」についてですが、これは「マール」の発音が正しいそうです。「マルク」と教えてくれたフランス人の言語学者から、「すみません。あれは私の土地の方言でした。マールで正解です」と訂正されてしまいました。そんな訳で、誤報してしまった事をお詫びするとともに、「マール」と訂正させていただきます。



 【蔵出し】 重要度 ★★★★



 日本酒でもよく使われる、この蔵出しと言う言葉。ワインではシャトー元出し、ドメーヌ元出し、イー・エックス・セラーなどとも呼ばれます。
 辞書によりますと「蔵出し」は、味噌や酒などを醗酵蔵から出してすぐの状態を意味するようです。なるほど、おおく作りたてからの経過時間が問われる日本酒の場合、蔵出しは鮮度を示す度合い。
 しかし、ワインの場合は意味が異なります。ワインは醸造元にて、安全に保管・熟成していた事、また、経由する人の手が最小数であった事を示します。フレッシュさを重要視する日本酒と熟成が必要となるワインとの違いですね。
 もっとも、近頃の日本酒には寝かせて飲む古酒などもありますから、こちらはワインと同じ意味になりそうですね。






 知っておくべきワイン用語・樽熟、瓶熟





 ワインは熟成する、寝かせる、などと言いますが、同じ酒でも、ウィスキなどの熟成は樽の状態で行われます。
 ワインの場合はそのほとんどが瓶に入った状態で熟成されます。さて、この違いは何でしょう。



 【樽熟・瓶熟】 重要度 ★★★



 ウィスキやブランデーは蒸留酒であり、アルコール度数は概ね40%を超えます。対してワインはおよそ12.5%と低め。
 つまり、ウィスキなどは瓶に詰めた状態ではほとんど熟成しません。したがって、樽の中で良い時期まで寝かせ、そのままを瓶に封じ込める訳ですね。逆にワインは、樽の中である程度まで形作りをします。これが樽熟と呼ばれます。つまり、瓶に詰めた状態から熟成をスタートする訳です。こちらが瓶熟。
 樽熟12ヶ月、などと言う言葉がありますが、この期間が長いほど、比較的、瓶熟が短くても飲める割合が高くなる程度の基準でしかありません。
 ワインにとって重要なのは、間違いなく瓶での熟成期間です。
 もっとも、これも旬を過ぎると枯れてしまいますから、そこもワインの難しい所ですが。