知っておくべきワイン用語・ヴァンドリクール

知っておくべきワイン用語・ヴァンドリクール

 ワイン用語を説明する時、非常に困るのが、広義で説明すべきか、狭義で説明すべきか、という点です。
 大雑把に言えばこのカテゴリで良いのだけれど、正確に言うと別のカテゴリになってしまう。そんな説明が多すぎる事です。

 【ヴァンドリクール】 重要度 ★

 ワインとは、葡萄(ないしは果実)を醗酵させて作ったお酒の事です。このヴァン・ド・リクールとは、葡萄ジュースにブランデーを添加して醗酵させずにお酒にしたもの。
 ブランデーも葡萄の蒸留酒ですから、いわば100%葡萄なのですが、自身を醗酵させていないため、狭義ではワインに含まれません。
 名前が示す通り、製法としては完全にリキュールのそれと同じです。ですが、何故か一般的にはワインにカテゴライズされる事がほとんど。製品としてはリキュールですが、その場で作ればカクテルとも言えます。
 なお、梅酒も英語ではプラム・ワインと呼ばれますが、製法的にはリキュールですね。


知っておくべきワイン用語・マール

 何故か完全に間違っているのに、和製語として日本に定着してしまっている言葉が存在します。「ナイーブ」などがそれに当てはまるでしょうか。(ヨーロッパでは「幼稚」「鈍感」「バカ正直」などの意味だそうです)
 また、発音が間違ったまま日本人が喋りやすいように定着してしまった言葉などもあります。ファーストフードやアボガドがそれに該当するでしょうか。(綴りを見れば完全に、ファストフードとアボカドですね)
 今回紹介するのはそんなワイン用語。

 【マール】 重要度 ★★★

 綴りはMARCです。ワインを搾り取った葡萄の絞りカスから、更にそれを醗酵、蒸留して作った、いわば粕取りブランデーのこと。イタリアではグラッパと言い、低価格ブランデーとして親しまれています。
 MARCをフランス語読みだから最後のCは発音しないので、マール、と思っていました。筆者も最近知ったのですが、フランス人に教えてもらったのは「マルク」で、完全にCを発音しています。むしろ「マック」と「マルク」の中間的発音に聞こえました。フランス人曰く、「マールはおかしい、間違いだ」そうです。なお、そのフランス人は言語学者だそうですので、方言だとかいう事はなさそうです。
 しかし、教科書にも「マール」と書かれていますし、筆者も15年来「マール」と記憶していますし、業界関係者も全員「マール」
 なので、真実を知った今でも「日本人的に右へ倣え」で、「マール」と紹介しておきたいと思います。