ワインと言うと、色々ないわれがあります。
 白ワインは新しく、赤ワインは古いものの方が美味しい。白ワインは冷やして、赤ワインは常温で飲むものだ。コルクが息をしているからワインが熟成する。ワインの瓶は立てて熟成させる。いや、寝かせて熟成される。
 正直、挙げていけばキリがありません。
 しかし、これらの逸話のほとんどが、あるいはワインの常識として一般に認知されている大半が、「都市伝説」レベルに根拠のないお話だったりします。
 決して、嘘ばかりが述べられている訳ではないのですが、何しろ膨大な量のワインの種類。
 古い方が美味しいものもあれば、新しいものが美味しいものもあります。冷やして美味しいものも、常温で美味しいものもある。
 何となく納得してしまう理屈もあるけれど、醸造家や研究者たちが懸命に調べて、否定された事や、まだ結論の出ていない事だらけなのです。
 実際に、「バナナの皮を燃やしたら、マリファナと同じ効果がある」というレベルのデマも存在します。
 ですからあなたがもし、ワインを知りたいと思うのならば、今まで耳に入った事は、一度全部忘れた方が先入観なく、ワインを知る事が出来るかも知れません。
 もし、あなたの隣に「知らないの? そんなのはワインの常識だよ」と嘯く人がいるならば、「世間で言われているワインの常識は半分ぐらい嘘だと聞いた」と言ってやるぐらいのつもりでいて下さい。
 それで相手が口ごもるようならば、それこそ根拠のない都市伝説に過ぎないのですから。
 あるいはこのコラムでさえ嘘だ、と疑うぐらいに、自分の感覚でワインを楽しんで欲しいのです。