ワインは本来飲むものですが、株のような投機価値があったり、コレクション的な扱いもされます。
 投機価値としては、最終的に高く売れれば問題ないのでしょう。コレクションとして考えれば、揃え集める事こそが目的になります。
 ただし、ワインの味には熟成と衰退があり、それはつまり、実質的に賞味期限が設けられていると言うこと。
 熟成がピークを迎える頃に飲んであげる事こそが、ワインにとっての本懐でしょう。
 しかし、ピークを大きく過ぎてしまったワインはどうでしょうか。味はもちろん枯れているので、美味しい状態ではありません。また、そのワインがそれなりの投機的価値を持っていたとすると、もはや骨董品・美術品としての価値さえ出てきます。
 例えば、一世紀以上前の高級ワイン。
 これを幾らで買うかは別の話として、もし、購入出来たとしたら、それは、飲むべきものなのでしょうか。
 あるいは、ただひたすら眺めておくべきものなのでしょうか。
 ワインは飲み物である、というのが筆者の考えですが、このレベルになってしまうと、それはもはや「飲んではいけないもの」なのではないでしょうか。
 冷静に考えて、おいしい時機を大きく逸していますから、美味しいはずはないのです。どんな味なのだろうとロマンを馳せながら眺める事の方が、正しいのではないでしょうか。
 それでも飲んでみたい、という欲求が消えないのが問題ではありますが。