世間では「ワインは、飲めばなくなる」と言われており、そして、それ自体は事実です。
 そんな、飲んでしまえばなくなるものに、数千円。ましてや数万円など支払う気は起きない。そういう意見を、少なからず耳にします。
 もちろん、価値観なんて人それぞれですから、何にどれだけの代金を支払うかは単純に計りえません。しかし、ただ否定するよりも、比較をして理解を求めてみたいと思います。
 ワインは、飲めばなくなってしまう。これ自体は事実です。ですが、物さえ残れば、消耗品ではないのでしょうか。
 例えば最近は、電化製品が壊れても引き取りにお金が必要です。あるいは、女性の水着ですが、実際に着て泳ぐ機会は何度あるでしょう。
 また、2時間の消耗品、映画は基本的に同一価格ですが、「当たり」の映画を見た後の感動は、2時間では消えません。
 そして、その映画に感動し、DVDを買ったとしましょう。実際にそのDVDは何度再生されるでしょう。
 あるいは、録画したはいいけれど、現実に再生されない映像も存在する事でしょう。だとするならば、むしろ、消耗される方が良いのではないでしょうか。
 また、ワインはコレクトする楽しみがあります。そして、蔵の中で熟成させる育成の楽しみもあります。例外的には、古い年代を得たワインは骨董品の価値をも持ちます。
 ですから、ワインはそういった多くの意味から、「飲めばなくなってしまう消耗品」ではないのです。