1998年のワインブーム以降、あるいはそれ以前から、ワインにはどうにも「苦くて渋いもの」というイメージが付きまといます。
 それはそれで厄介だったりもしますが、更に困るのは「酸味の強いワイン」のイメージでしょう。
 身の回りを見渡せば、レモン、梅干、酢の物と、いくらでも酸味の勝つ食品は見つかるはず。ところが、ワインの酸味が強いと「酸化している・劣化している・傷んでいる」などと思われがち。
 梅干やピクルスは保存食であり、ワインもまた保存食。酸味は、保存と熟成を経る過程で、不可欠な要素なのです。
 切ったリンゴを塩水につけずに置いておけば酸化します。しかし、それは酸っぱくなるとは少し違ったニュアンスになります。酸化とは言いますが、ワインの酸化が進めば酸っぱくなる、というものではありません。
 そもそも酸味が苦手、という訳でないのならば、酸っぱいワインにも手を伸ばしてみてはいかがでしょうか?
 キツネが諦めた酸っぱい葡萄に出会えるかも知れません。