ワインには、時間と共に旨味が増す「熟成」があります。この熟成のピークにさえ出会えれば、ほとんどのワインは値段に関係なく、素晴らしい味を提供してくれることでしょう。
 しかし残念な事に、ほとんどの、それも9割以上のワインはこの熟成のピークを迎えるまで待たれずに消費されてしまいます。
 つまり、ワインはそのほとんどが充分なポテンシャルを発揮しないままに飲まれている訳ですから、実に勿体のない話です。おそらく、5年から10年は早く飲まれている事でしょう。
 それならば、生産者が充分に寝かせた上で販売すれば問題ないのですが、10年分もの商品を眠らせておく訳には行きません。寝かせるスペースと保存の費用、それに、キャッシュフロー。熟成したワインが高価なのはそのためです。そしてそれは、輸入元や酒屋にも同じ事が言えます。
 では、消費者が購入から10年分のストックを持ち、10年待てるでしょうか? 答えはやはり同じ。
 これから先、ワインが発展していくためにクリアしなければならない問題は、いかにして在庫を抱えるか。そして、いかにして熟成を無理なく、かつ短期間で行えるか。これらにかかっているのではないでしょうか。