知っておくべきワイン用語・バッグ・イン・ボックス
何だか手を出しにくい雰囲気があるけれど、手を出してみると意外に便利。そんな事象が、世の中に溢れていたりしませんか?
今回、紹介するのはこの言葉。
【バッグ・イン・ボックス】 重要度 ★★
厳密に言うと、ワイン用語という訳ではありませんが、知っておくと便利な言葉かも知れません。
いわゆる紙箱入りワインです。紙箱の中にポリエチレンなどの袋が入っており、その中にワインやミネラル・ウォーターが入れられています。略して、BIB、ボックスワインなどとも呼ばれます。
その多くはプラスティック製の注ぎ口が付いており、必要な分だけ蛇口をひねる事で取り出せる構造。わざわざコルクを抜く手間もなく、手頃なお値段も魅力。また、注いだ分だけ袋がしぼむので、空気に触れにくく劣化はボトルワインよりも遅くなります。
多くのメーカーが開封後一ヶ月ほどの賞味期限を設定していますので、日常的に飲むケースや、ちょっとだけ料理に使う場合にも気兼ねなく使用できます。
大量だから、という理由で手を出さなかった方も多いと思いますが、一度試してみてはいかがでしょうか?
ワイン用語の多くは、ワインで最も名高い地であるフランス語。なので、フランス語を知っていれば何かと便利だったりします。今回、紹介するのは実に簡単なこの言葉。
【デミ】 重要度 ★★★★
簡単に訳すと「半分」です。簡単な言葉だけに汎用性が高く、ワインに限らず色んな場面で使用されます。
デミ・ブティーユ(Demi-Bouteille・ハーフボトル)であったり、デミ・セック(Demi-Sec・中辛口)など。また、コーヒーではデミタス(demi-tasse・半カップ)、料理ではデミグラス(Demi-Glace・半分煮凝り)と、その使用用途は多岐。
こんなコラムを書いていると、まるでフランス語に堪能なイメージを与えてしまうかも知れませんが、筆者はワインや料理方面の専門。翻訳会社様のコラムを書いているにも関わらず、日本語以外はまるで話せません。
知っておくべきワイン用語・プリムール
11月の第三木曜日。それは、日本に於けるワインにとってほぼ唯一と言えるイベント、ボージョレー・ヌーヴォーの解禁日です。
ボージョレー・ヌーヴォーに関しては過去に色々と書いていますのでそちらを参考にしていただくとして、今回はその類義語を紹介しましょう。
【プリムール】 重要度 ★★★
平たく言えば、これもワインの新酒を意味します。厳密に言えば「最新ヴィンテージ」、そして「先物」という意味。
ワインは、最初に全て出荷される訳ではなく、市場の評価から価格を変えつつ徐々に売り出されていきます。この一番最初の買い付けがプリムール。つまり、先物。
もちろんのこと、市場評価が高ければどんどんと値段が高騰する訳で、ワインが投機の対象にされるのはこの為です。無論その逆もありますので、まさに「先物」
とは言え、ワインを投機対象として扱っているのはごく限られた一部だけですので一般的には「新酒」という意味で捉えるのが正解かも知れませんね。
知っておくべきワイン用語・原価
あらゆる商品には「原価」が存在します。中には、高いにしろ安いにしろ「こんな原価なのか!」と驚かされる物も。
無論、「原価」には大きく分けて「売上原価」と「製造原価」が存在し、何処までが原価なのかを割り出すことは難しいと言えます。
例えば、市場で数万円するコンタクトレンズや香水は50円以下という驚く安さで製造されていますが、その研究開発費、広告費などを含めるとその金額は跳ね上がります。
【原価】 重要度 ★★★★★
では、ワインの場合はどうでしょう。基本的にワインは葡萄という農作物ですから、高級ワインであろうが安物であろうが、生産費用そのものはさほど高くありません。しかし、農作物はその品質を上げようとすると、人件費は嵩み、収量は下がります。
また、多くのワインは仲介業者を通すためその手数料。日本に輸入するための輸送費、関税、酒税。そして輸入商社の利益、販売店の利益が含まれますので、ことは単純ではありません。
現地で買えば数百円のワインが日本で数千円になるのも仕方のない事なのです。
特に今が旬とされるボージョレー・ヌーヴォーは船便ではなく航空便。価格の500円ほどがジェット燃料代という訳ですね。
ちなみに、1000円以下で飲めるペットボトルのヌーヴォーは、瓶代がペットボトル代に。重量と一度に運べる量が劇的に下がるため、あの価格で提供されているというカラクリです。
知っておくべきワイン用語・ヴィティス
物事を深く調べていくと、いずれ専門的な事柄になっていきます。学名などは一般的に知れ渡ることはありませんが、世界共通であるという点は便利なのかも知れません。
学名は、生物に付けられるものですから、もちろん葡萄にもあります。
【ヴィティス】 重要度 ★★
ヴィティスは葡萄の学名(の一部)で、ワインに使われるのは、そのほとんどがヴィティス・ヴィニフェラというヨーロッパ種。綴りの頭がvin(フランス語でワイン)と覚えればわかりやすいでしょう。
また、食用などにも使われるアメリカ種のヴィティス・ラブルスカ。病気に強く、接木の台木として使用されるヴィティス・ルペストリス。アジアの山葡萄種ヴィティス・アムレンシスなどもあります。
しかし、これらの名前がワインのラベルに表記される事は皆無と言えるレベルですので、「ヴィティス」という言葉が葡萄の原種を示しているぐらいに覚えておくといいでしょう。
知っておくべきワイン用語・ポリフェノール
「赤ワインにはポリフェノールが多く含まれているから健康に良いんだ!」的な発言を聞いた事があると思います。
しかし、「で、ポリフェノールって何?」と返すとその答えがなかったりするのが現実。
【ポリフェノール】 重要度 ★★★★
ポリフェノールとは、沢山のフェノール性ヒドロキシ基という意味で、植物の色素や苦味の成分。「ポリ」が「沢山の」を意味するだけあって、ポリフェノールには色々あります。
代表的なもので、アントシアニン、イソフラボン、カテキン、タンニン、ルチンなど、その効用も様々。何だか健康食品の売り文句でよく見かける名前ですね。
専門家ではありませんので、赤ワインやポリフェノールが健康に良いのかどうかはわかりませんが、酒にしろ栄養素にしろ何にしろ、摂り過ぎには注意した方が良さそうです。
知っておくべきワイン用語・クローン
クローンと言うと筆者にとってはSF的で、ともすれば夢のまた夢のイメージがあります。しかし、技術は進歩するもので、近年は現実の世界でも羊のクローンなどが作られているそうです。
【クローン】 重要度 ★★★★★
しかし、クローン技術という言葉が普及するよりも遥か昔から、植物のクローンは生産されていました。葡萄や薔薇がそうですし、日本では柿が有名ですね。
困った事に、これらの植物は「Aの種を植えたのに、Bの実がなる」という特殊な植物です。つまり、甘柿と渋柿で知られる「接木」こそがクローン技術そのもの。
この、クローンのお話は非常に面白く、書くべき事もたくさんあるのですが、今回はとりあえず「クローン」と言ってもSF的な話ではない事だけ頭にとどめておいてください。
知っておくべきワイン用語・キュヴェ
普段使っているのに、「それってどういう意味?」と聞かれると困ってしまう言葉はありませんか? 筆者の場合、知り合いの外国人に「わざわざありがとう、の”わざわざ”ってどういう意味ですか?」と聞かれ返答に困った事があります。(ちなみに、「優先順位が下のもの・行為を先にすること」でしょうか)
【キュヴェ】 重要度 ★★★
ワインでは「キュヴェ」という言葉が困ったポジションと言えるでしょう。よくワインの名前に「キュヴェ・○○○」という様に付けられています。
直訳すると「発酵した」 言葉としては「特別なロット」「特別発酵」というような意味になりますが、色んなワインにこの言葉が付けられてしまっているため、あまり意味がありません。
「あまり意味がありません」と答えるのも不粋ですし、本当に困った言葉です。
知っておくべきワイン用語・テーブルワイン
月並みですが「世の中を二つに分けると、AとBに分類される」という言葉があります。これらの中には「当然だろう」と言うものから、「なるほど」と感心するものまで種別はさまざま。
これをワインにしてみると何と何に分けられるでしょう。「赤」と「白」でしょうか。しかし、これには「ロゼ」の存在があります。個人的に分けるとしたら、この二つです。
それは「日常消費ワイン」と「非日常ワイン」です。
【テーブルワイン】 重要度 ★★★
テーブルワインとは、日常的に消費されるワインを意味し、価格も当然ながら手頃なもの。フランスではヴァン・ド・ターブル、イタリアではヴィーノ・ダ・ターヴォラ、ドイツではターフェルヴァインなどと呼ばれます。
無論、消費者の収入や興味の度合いによってテーブルワインのランクに差は出てきますので、分類としては、日常的に飲めるものと、何らかの「きっかけ」をもって、より「期待」を込めて飲むワインを「非日常」に分けるとわかりやすいかも知れません。
知っておくべきワイン用語・シャンブレ
料理において「アツアツの〜」とか「冷た〜い」なんてセールス文句は常套手段ですが、冷静に判断すると、それぞれの料理には「適温」があります。一瞬で舌を火傷する熱さ、味や香りを感じないほどの冷たさは問題外。
では、ワインにおける適温とはどんなものでしょう。
【シャンブレ】 重要度 ★
シャンブレとは、部屋を意味するフランス語「シャンブル」から来た言葉で、セラーで冷えすぎたワインを室温にならすこと。しかし、これはエアコンのない時代の言葉で、現在における冬の暖房や夏の冷房が効いた部屋で適温とは言えません。
では、何度が適しているのかと言われると、これもまたワインの種類によるとしか言えません。
香りが立たないな、と思えば少し待って温める。味がぼやけたな、と思ったら少し冷蔵庫にしまってあげるなど、自分にワインとっての適温を探してみる事が近道かも知れません。
知っておきたいワイン用語・ワイナリー
近頃は、暑い夏というだけでなく、ベルギービールや日本の地ビール人気が相まって、ビールが売り上げを伸ばしている模様です。一昔前まで使われなかった「ブルワリー」なんて言葉も各所からチラホラと聞くようになりました。
【ワイナリー】 重要度 ★★★
ブルワリーがビールの醸造所なら、ワイナリーはワインの醸造所です。ちなみにワイナリーは英語で、イタリア語ならカンティーナ。ドイツ語ならヴァイングート。フランス語ならシャトーがそれに相当する言葉でしょうが、実際に使うのは、ワイナリーとシャトーぐらいでしょう。
シャトーは本来なら「城」を意味しますが、ワイン用語では醸造所のこと。
また、フランス・ブルゴーニュ地方では、同じニュアンスでドメーヌ(生産者)という言葉が使われたりするケースも。
細かい意味では、これらの言葉は正確ではありませんし、ややこしいこと限りないので個人的には、ワイナリーという言葉で統一して欲しいと願う次第です。
知っておきたいワイン用語・糖度
近頃は、デパートに行くと高級フルーツに「糖度」を示す表記があったりします。平たく言えばそのフルーツがどれだけ甘いかを表している訳ですが、同じくフルーツから作られるワインにとっても糖度は重要。
【糖度】 重要度 ★★★★★
ワインと言うと渋みが目立つため誤解されがちですが、食用葡萄よりも、ワイン用葡萄の方が糖度が高いのです。基本的に、アルコール発酵は糖によって行われるため、葡萄の糖度こそがワインを形作ると言っても過言ではありません。糖度が高ければ高いほど値段まで上がるのが定石でもあります。
なお、1リットルの水に対し、果汁が何グラム多いかというものが概算になり、これをエスクレ度と言います。例えば果汁1リットルで1120グラムだとエスクレ度は120。また、ワインにした後の糖の量は「残糖度」と言い、これもまた1リットルあたり、ワインが何グラム多いかで計られます。
ちなみに、「糖度」そのものは「糖度計」という便利な道具で測れます。
知っておくべきワイン用語・シーフ
知っておくべきワイン用語・シーフ
ワイン用語は山ほどあり、まず使う機会のない言葉も少なくありません。むしろワイン以外で使う事の方が多いかも知れない言葉もあったりします。
今回紹介するのはそれに該当する言葉でしょうか。
【シーフ】 重要度 ★
シーフとは英語で泥棒のこと。ワイン用語では何を意味するかと言うと、ワイン樽から、ワイン熟成具合を調べるためのワイン用スポイトの名称。醸造家以外では、ワイナリーにでも行かなければ触る事はおろか、見る事さえないかも知れません。
酒泥棒とは洒落たネーミングですが、これでは盗み飲みの為の道具か、味見用かわかりませんね。
ちなみに筆者はファンタジー・ビデオゲームに登場する「盗賊」の名称としての「シーフ」ぐらいにしかこの単語は使った事がありません。
知っておくべきワイン用語・サーベル
ワイン用語や道具はたくさんありますが、意外にも実際に使う事の少ない物もあります。タストヴァンと呼ばれる銀皿などは、本来の毒見(銀が反応して変色する)という役割がほとんど失われ、ソムリエのシンボルとなりつつある、など。その代表格とも言えるのが、今回のお題。
【サーベル】 重要度 ★★
お祝いの席などで、シャンパンを開ける際に、サーベルで瓶の口を切り落とす事があります。なかなかに派手で素晴らしいパフォーマンスなのですが、いかんせん狭いこの日本。広いホテルや庭付きのレストランなどの限られた場所でしかお目に掛かることが出来ません。
ガラスの瓶を剣で切り落とす、と言うと秘伝の技のようですが、「思い切りを良く」「剣を瓶に滑らせるように」やれば重みで接着部が勝手に切れますから意外に簡単。練習は、ビール瓶と包丁の背でも可能です。ただし、銃刀法違反が厳しいこの日本ですから、練習するにも人目に注意を。