今現在でこそ、格好の良い職業と思われがちなソムリエですが、その起源は、貴族がワインを飲む際に、「このワインには毒が入っていません」と証明する為の毒見役だったと言われています。
 その証拠に、昔は「タスト・ヴァン」と呼ばれる銀製の皿を使用して味見していたのですが、これは当時の毒が、硫ヒ鉄鉱など硫黄を媒体としたものがポピュラーだったため。(銀が硫黄分に硫化反応し、黒くなる特性を利用)
 この毒見役が次第に、ホストの飲み物を吟味して選択するようになり、現在のソムリエの地位を構築したものと考えられ、ヨーロッパで銀食器文化が栄えたのも同様の理由があると言えるでしょう。
 ホストの顔色を伺いつつ、しかも命懸けだった訳ですから、ワインの味や仕入れ、その安全性へのこだわりは、現在のソムリエのそれを遥かにしのいでいたのではないかと思います。